ハローサマー・グッドバイ

「女性の幸せは結婚して家庭を築くことだ.」などというと愚にもつかない前時代的な発想だと非難されるだろう.

ただ,教えたわけでもないのに狐の人形を子供に見たててあやしていた,私の妹の幼い頃の姿を思い起こすと,実際の所,本当は結婚して家庭を築くのが女性の一番の幸せなのでは無いかと思う.

我々は,蛇に対して異様な恐怖感を感じる.これは,まだ我々の祖先が,ネズミくらいの大きさの哺乳類だった頃の,恐怖の記憶を引き継いでいるのだろうと思う.

蛇は恐怖の記憶だが,喜びの記憶も我々は引き継いでい居るのかもしれない.もしかすると女の子などがするごっこ遊びは,その喜びの記憶の追想なのかもしれない.

何百世代と繰返され引き継がれてきた原初的なその子供を慈しむ喜びの記憶を引き継いで居るからこそ,教えられていないにも関わらず,人形を子供に見たててあやすというのでれあれば,それは最も実現するべき人生目標ではないのかと思う次第だ.

 

[1] マイクル・コーニイ.ハローサマー・グッドバイ.河出出版.