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研究室配属を控えた四年生に伝えたい,研究を進める為のノウハウ

<研究室選び>

研究室選びは今後研究を進める上で最も重要な選択となります.ここで誤った選択を選んでしまった場合,諦めず,軌道修正を試みてください.たとえば私の大学の場合,同一学科内では,研究室の変更は認められている様ですし,研究室変更後も予定通り論文審査は受けられる様です.つまり,研究室を変更したとしても,努力すれば留年せずに卒業できる訳です.

<研究室選びのポイント>

研究室といえども,人間関係は無視できません.自分の性格と合った研究室を選ぶようにしましょう.自分のやりたい研究を出来たとしても,自分の性格と合わない研究室を選んでしまっては,期待通りの研究はできないかもしれません.研究内容と,自分の性格と合う研究室かというこの二点を比較し,上手く折り合いの合う研究室を選びましょう.実際,私の学年でも,うつ病になって留年した人や,大学院で中退し,卒業していった人がいます.(90人の学科に対して2人?)研究室選びは重要です.

<研究のこころ(核心)>

研究を進める上で特に心に留めておくべき事項としては,論文を中心として研究を進めるということです.科学というのは,先人たちの研究の上に成り立っており,新しい知見を論ずる上でも,先人たちの研究を疎かにすることはできません.もし,先人たちの研究を無視して,新しい知見を論ずる場合,その知見は根拠のない空言となってしまいます.また,まったく新しい,独創的な研究の場合,先人の知見は利用できないことになると思いますが,それはよほどの天才の場合であって,普通の秀才か凡人は,普通は,すでにある研究に乗っかる形で研究を進めることになると思います.

既存研究に乗っかる場合は,その乗っかる研究の正統性(根拠)を示すため,先行研究(論文)は重要となるのです.参考文献としてその論文を提示し,乗っかる研究の正統性を示すことができれば,あとは自分の研究の正統性を何らかの配慮(例えば,実験値と比較するなど)を払って示すことができれば,疑義のない研究となるわけです.

<論文のこころ(核心)>

-論文調査の進め方-

まず,論文調査で重要なポイントは,発表年著者です.発表年が古い場合は,そのテーマについては他の研究者が既に研究をやりつくしている場合が多く,いまさら新しい研究テーマは見つけられないかもしれません.また,著者も重要なポイントであって,信用できない著者の研究をいくら突き詰め,極めたとしても得られるものは何もありません.

-論文の探し方-

一般的にはその分野のジャーナルを図書館などで探す,インターネットなどで公開されている論文を探すなどの方法があるかと思います.私の研究室では,もっぱらScienceDirectというサイトを利用していました.

ただ,研究室配属当初はその分野についてはまったくの素人であり,漠然としてつかみどころがないかもしれません.そういった場合は,その分野の専門書を図書館で借りてきて読んでみるといいかもしれません.また,そういった専門書の巻末には参考文献として論文が挙げられていますので,年度は若干古いかもしれませんが,取っ付きとしては,参考文献に挙げられている論文を読んでいくというのも良い手かもしれません.そして,そういった論文はその分野では有名な論文であると思われるので,その論文を引用している論文を読んでいくと芋ずる式に論文を探していけるかもしれません.

-論文の質-

論文にも質があります.最も質が高いのは,有名な学会誌に載せられた査読付き論文です.論文の質にも注意しましょう.

<研究のモデルケース>

例えば,あなたの所属する学科が工学部筆記用具学科だったとします.あなたは数ある研究室の中から,筆記用具学科のボールペン研究室を選択しました.ボールペン研究室では,筆記用具の中でもボールペンについて研究しています.おそらくあなたは,配属されてすぐに,指導教官のボールペン先生に論文調査を取り組むよう命じられます.

論文調査を命じられたあなたは,三色ボールペンの論文に目が留まりました.その論文では,今までは単色だったボールペンを三本のインクをまとめることで,ボールペン一本で三色の色を表現できるようにするという提案がなされていました.

この論文を読んだあなたは,三色ボールペンシャープペンシルを加えたらさらに便利になるはずだと思いました.そこで,あなたは,三色ボールペンを研究テーマとすることにし,三色ボールペンシャープペンシルを加えるよう研究に取り組みます.(悲しいことに,これがなかなかうまくいかないのですな.うまくいかないからこそ研究と言えるのですが.簡単な研究はありません.)

晴れて三色ボールペンにシャープペンを加えることに成功した場合,次に,研究内容を世間に報告する必要があります.研究発表で最も重要なことは,既存手法と比較して新しい手法が如何に優れているかという優位性/新規性を提示することになりますので,実際にシャープペンシル三色ボールペンに加えることで,筆記用具入れの面積がどれだけ削減されるとか,シャープペンシルに持ち替える時間がどれだけ削減されたなどという事実を定性的/定量的に提示し,その手法の優位性を証明する必要があります.これが実験/検証にあたります.

実験/検証を達成すれば,あとは論文を書くだけとなります.論文については大体次のような内容となります.

 

[背景]

今まで,別々に存在していた三色ボールペンとシャープペンでは,筆記時に持ち替えが発生し,時間損失となっていた.そこで,三色ボールペンにシャープペンを加えた新しい筆記具を提案する.

[理論]

三色ボールペンにシャープペンを加える理論を説明する.

[検証]

シャープペンを加えることで,利用者がどれだけ便利になったかを定量的/定性的に提示する.

[結論]

三色ボールペン+シャープペンの利便性を概括する.

 

というような内容の論文を作って,指導教官に提出すれば,あとは卒業ということになると思います.

-その他-

ゼミ発表などを通して,先輩はどのように研究を進めているのか,研究室に所蔵してある歴代卒業生の卒業論文を調査して,卒業論文の全体像/落としどころを把握するなど,(研究室に配属されたなら)モデルケースの調査に努めましょう.マニュアル人間の誹りを受けるかもしれませんが.