雀荘の闇

 研究室の後輩(元同級生)に聞いた話である.彼は雀荘にアルバイトで勤めているのだが,そこの雀荘は賭麻雀が公然と行われており,彼自身も賭麻雀をさせられるので,掛け金で稀に赤字になることがあるそうだ.それでも,彼は強い方なので殆どの場合は黒字なそうであるが.

 それよりも酷い話が,社員の人である.彼の勤める雀荘には社員も居るのだが,社員は賭麻雀の掛け金が給料から天引きになっており,負けが続くと給料は数万円になって明らかに生活出来ない額しか貰えないこともあるそうだ.そういう制度があるので,一ヶ月で辞めていく人は多いそうなのだが,その人はむしろ幸福な方で,辞めない人もおり,その場合はさらに悲壮なことになる.

 給料では生活出来ないので,店長からお金を借りるのである.そうすると,返済のために辞めることが困難となり,ずるずると安い給料で飼い慣らされるのである."ブラック企業"どころか現代の"闇"である.そのように彼に話すと,「奴隷のようだね」という話だった.

 しかし,賭麻雀は違法行為であり,違法行為に基づいた給料の天引きも法律に基づいていない.なので,労働基準局に訴え出れば,高い確度でその天引きは返済されるはずであると思う.どのような名目で天引きされているのか聞き出せなかったが,法律に基づいていない以上,その天引きの法的根拠は存在しないはずである.

 そもそも問題は,賭け事を公式には違法としているにもかかわらず,強制的に規制しない所にある.規制しないがために,一切の法整備が行われず,有耶無耶の中,アンダーグラウンドで異常な状況がまかり通るのである.

 規制するつもりが無いのなら,合法化して,法整備を整えるべきである.そうすることによって,利用者も労働者も健全な環境の中,賭け事という遊戯を楽しめるだろう.

 日本は全てに於いて,事なかれ主義なので有る.もし,大胆な変革を受入れなければ,その内に,社会が腐って行くであろう.府は腐るのである.