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シルバーデモクラシー

若い人というのは,無意味に新しい物が好きで,新しいものに取り替えても不便になるだけなのに,新技術と聞けば手に取ってしまう習性がある.対して,老いた人は,新しいものには消極的で,なるべくなら関わりたくないという態度で新技術などに接する.新しいことに対するこれら二つの態度は,当然両方必要で,積極性があるから進歩できるし,消極性があるからこそ慎重になれる.そして,これらの態度を若い人と老いた人で分担するよう,人間の社会は形作られているようだ.老い先短い老人と未来がある若人には,丁度良い役割分担だと思う.

そして,今回の大阪都構想の選挙結果を見て,若い人の賛成率と,老いた人の反対率がちょうど対称な関係になっているというのは,綺麗に自然の摂理が働いたものだと感心した.しかし,twitter上では,たまたま老人世代がキャスティングボートを握っただけと言うのに,老人世代が,改革を握りつぶしたと言うような言説が流れている.だが,若者世代も30%は反対だったし,老人世代も30%は賛成だった.確かに,差はあったが,全責任があるかの言い様は言い過ぎだと思う.

老人が新しいことに消極的なのは彼らの宿命だ.例えば,老人にリフォームを機に和室から(体に負担の少ない)洋室へ替えてみてはどうかと勧めても,住み慣れた和室にこだわるかもしれない.終の住処を選ぶのは彼の権利であり,私たちが口を出す権利は無い.

 

(twitter上で,自分も批判的なことを書いていたような気がするが,流されて書いた物です.)

宗教とは

 宗教とは人間の精神的脆さを補完するためにある.大抵の人は何らかの脆さを抱えており,それは死後の世界への不安であったり,人生の生き方についてだったりする.あるいは,「なぜ人を殺していけないのか」というような善の基準を信教に求める場合もある.これら,精神的弱さをもし宗教に頼らず克服できれば,動物の中で人間のみが生み出した,宗教という空想の存在から独立できるだろう.

 しかし,問題なのは,これらの精神的脆さを克服できずに宗教を否定する場合である.この場合,結局あやしいカルト宗教にはまったり,精神的に乏しい生き方を送ることになり,さながら,未熟な子供が背伸びをして家を飛び出し,大やけどをするのに似たことになる.(盗んだバイクで駆け抜ける的な)

 つまり,宗教という自己暗示的欺瞞から脱却するのは良いのだが,脱却するには精神的に宗教から独立する必要がある.「なぜ人を殺していけないのか」とか,「死後の世界」とか,「生きる意味」などの答えに答えられなければ,無宗教を名乗るのは危ぶまれる.(古代メソポタミアの人々は死後の世界を信じていなかったそうだし,善の基準だって理性的に考えれば答えはある.)

リテラシ

メディア・リテラシーなるもの - 擬似環境の向こう側

上の記事では,メディアリテラシという概念の普及により,アレルギ反応的マスコミ避忌を嘆いているが,大げさなのはさておき,リテラシは当然心得ておくべき規範的考え方である.(交通ルールみたいなもので,みんながみんな心得ておくべきである.)

メディアリテラシが欠けていた事例として「日比谷公園焼き討ち事件」をあげると,これは国民が日本の国情をよく理解せず戦争継続を訴えた事例であるが,このときは政府は賢かったので,再び戦争の火蓋を開けることはなく,日露戦争は日本の勝利で終った.つづく「第二次世界大戦」もメディアリテラシを欠く国民は殆ど熱狂的に戦争を支持し,この時は政府も愚かだった(海軍は努力した)ので,日本は戦争に負けた.

戦後,ある程度のメディアリテラシを得たと思われる日本国民は高度経済成長に伴う四大公害に直面するが,「科学的根拠はない」という言葉を真に受け,科学的に(有害物質と病気の)因果関係が解明されていないだけで,経験的には有害性が考えられる化学物質の排出を問題視しなかった.この時は,メディアリテラシどころか科学リテラシすら欠けていた.

次いで,現代,福島原発事故に伴う,環境系の放射能汚染も大概のことは「科学的根拠はない」という言葉で片づけているが,これで良いのだろうか.もし,国民にメディアリテラシが備わっているなら,国民は一斉にデモを起こし,福島に住む人々を救い出すべきなのではないだろうか.何十年後に結果が出たとき,後生の人々は我々を非難しないだろうか.

もちろん,報道を見る限りでは,福島全域が高濃度に汚染されているわけではないし,今の状態なら喫煙などよりは安全だと思うし,そこまでする必要はないと思うが.そこまで科学を盲信して良いのだろうか.むしろ,事故後の汚染水の処理で,希釈すればほとんど無害なトリチウムの廃棄に,世論が反発していたのをみて過剰な反応だと思ったほどなのだが.それでも,科学は絶対ではないのだから.